睡眠と認知症
40歳以上で、睡眠時間が6時間以下であれば、脳内のアミロイドが約5倍に増え、認知症のリスクが30%増加するといわれています。一方、睡眠時間が9時間以上でも、認知症のリスクになります。すなわち、過眠も治せるものは治療すべきです。 今回は、過眠症に対するLカルニチンの効果についてまとめました。
特発性過眠症の10代女性
睡眠を8時間とっているのに、授業中、急に睡魔が襲って寝てしまいます。サプリメントのLカルニチン1000㎎服用により、2週後、眠気が改善して、授業を最後まで受講できるようになりました。
ナルコレプシーの20代男性
昼間の眠気以外に、入眠時幻覚(金縛り)、情動脱力発作(怒り、恐怖、喜び、笑い、驚きなどの突発的な感情が引き金になって、身体の力が抜けて倒れる)もあって、上記診断となりました。Lカルニチン1000㎎により、3週後より、これらの症状が改善しました。
Lカルニチンのすばらしい効果です。
まとめ
特発性過眠症やナルコレプシーなどの過眠症の方は、一般的に、睡眠専門外来での1泊検査入院が必要で、治療薬のモディオダールも研修を受けた専門医でないと処方できません。
一方、過眠症に対するLカルニチンの効果は4~5割ですが、それでも、Lカルニチンが奏効する人は、入院検査も、通院によるモディオダール処方も必要ないのが、特筆すべきメリットです。サプリメントを服用するだけで、通院する必要はないのです。
したがって、過眠症(いびき・睡眠時無呼吸のない)では、まず、Lカルニチンを試してみるべきです。さらに、栄養療法を併用すると、Lカルニチンも不要になるのかもしれません。
宮崎医科大学医学部卒業。独立行政法人国立病院機構菊池病院(熊本)元院長。熊本県の認知症中核病院の専門医として、熊本県全域から訪れる多くの認知症患者さんを診療され、平成30年に熊本駅前木もれびの森心療内科精神科を開院。食事・サプリメント指導により患者さんの栄養状態を改善し、お薬の量を最小限にされ、精神面の安定・改善をめざす、栄養療法を主体とした副作用の少ない「やさしい医療」を実践されている。