ビタミンBと認知症
ビタミンBはTCA(クエン酸)回路を通して、エネルギー産生に密接に関係して、非常に重要な役割を果たしています。血中ビタミンB1濃度が50ng/mL未満は欠乏症ですが、日本人男性の平均値は35.8ng/mL、女性は31.4ng/mLであり、日本人の約7割がB1欠乏状態です。症状として、疲れやすい、だるい、意欲・集中力低下、イライラなどの症状がみられます。(ビタミン,76(7):349- 353,2002)
研究1
認知障害のない高齢者、および軽度認知障害患者へのビタミンB群の有効性を検証した21報の臨床研究では、ビタミンB群摂取グループは、包括的認知機能スコアが高く、血中ホモシステイン濃度が低い結果でした。これらのことから、ビタミンB群摂取は、高齢者の認知機能低下予防に効果的である可能性が示されました。(Shufeng Liらの研究:The preventive efficacy of vitamin B supplements on the cognitive decline of elderly adults: a systematic review and meta-analysis)
研究2
昭和大学病院メモリークリニック外来を受診した192人(男性 65人、女性 127人)の 血清ビタミンB1、B12濃度と認知症の関連を評価しました。 認知機能評価には、ミニメンタルステート検査(MMSE)日本語版、改訂長谷川式認知症スケール(HDS-R)を用い、MMSE<23、およびHDS-R<20の場合は認知症に分類しました。
その結果、女性ではビタミンB1濃度の低いグループの認知症リスクが有意に高度でした。 認知症グループと非認知症グループのビタミンB濃度を評価したところ、 女性では非認知症グループのビタミンB1・B12濃度は有意に高い結果でした。(Ayako, Miki,et al.:Sex Differences in the Relationship of Serum Vitamin B1 and B12 to Dementia Among Memory Clinic Outpatients in Japan. Front. Aging Neurosci., Apr. 9;13:667215. doi: 10.3389/fnagi.2021.667215)
まとめ
これらの研究から、認知症進行予防に、ビタミンBが有用であることが明らかになりました。現在、いくつかの認知症予防サプリメントが流通していますが、質のいいビタミンBサプリメントを併用すると、その効果がより高まると思います。
そこで、フェルガード、MガードにもビタミンBサプリメントを併用して、その手応えを実感しています。
宮崎医科大学医学部卒業。独立行政法人国立病院機構菊池病院(熊本)元院長。熊本県の認知症中核病院の専門医として、熊本県全域から訪れる多くの認知症患者さんを診療され、平成30年に熊本駅前木もれびの森心療内科精神科を開院。食事・サプリメント指導により患者さんの栄養状態を改善し、お薬の量を最小限にされ、精神面の安定・改善をめざす、栄養療法を主体とした副作用の少ない「やさしい医療」を実践されている。