先のことを考えすぎない
ときどき真面目なご家族から「これからこの人は、どうなっていくんでしょうか?」と相談されることがあります。思いつめた表情で。「今から24時間介護の施設に入っておいた方がいいか?」と相談はつづきます。
私の回答は…
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情報収集をしておくのはよい。
アクションを起こすのは、
その場その場の状況に応じて。
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1年後にはこうなる…
3年後にはどうなる…
先のことは、なかなか読めないんです。
予想しても、アクシデントで大幅にはずれることも。
そしてその時の認知症の状態や体の元気さによって、望ましい生活環境も異なる。
「何があっても万全♪」という全方向ばっちりな環境ってないんですよね。
たとえば…
現時点で認知症もない女性が、夫が亡くなった心細さから
‘将来何があっても大丈夫なように’とケアハウスに入りました。
その時点では彼女にはまだ早い…とは思いましたが。
外来で報告を受けた時点で既に契約済みでした。
実際に入居してみたらやっぱり彼女には合わなくて
半年くらいでそこを出ることになりました。
ケアハウスは一応自立した高齢者のための住まいという位置づけですが。
現実には認知症だったり身体が不自由な要介護状態の方が多く、
コミュニケーションを楽しめる仲間が見つからなくて。
また自宅と違って自分一人で色々やらなきゃ!
という負担が少ない分生活の手ごたえも乏しくて。
「あそこにずっといたら早く年とっちゃいそうで。」
ケアハウスごとにカラーがありますし施設を全否定するわけではないのですが。
少なくともいまの彼女には合っていなかった。
数年後には、また違うかもしれない。
その時点、その時点で、今の自分にあった環境を探していくしかないのです。
先のことを考えるなとは言いません。
もしこうなったら、どんなところにお世話になるのかな…
どういう制度が使えるのかな…
と下調べして情報を得ておくのは直前にアワアワしなくてよいかと。
どういう状況になっても信頼して相談できる相手を
確保しておくのも、とてもいいと思います。
その上で、
ケ・セラ・セラですね♪
※本記事は白土綾佳先生のメルマガ配信の過去の内容を一部構成し直したものです。メルマガ(無料)のお申込みはこちらから
自治医科大学医学部卒業後、茨城県の地域医療に従事され、平成29年にあやか内科クリニックを開院。大病院に紹介しても症状が改善しない患者さん、介護で疲れ切った家族を笑顔にしたいという思いで、公立病院勤務中にコウノメソッドを開始し、劇的に改善する患者さんを見て、この方法を全国に広げるための活動をはじめられる。「認知症にならない」予防と「認知症になっても大丈夫」な診療・環境づくりの両輪が整う社会を目指されている。