プロトンポンプ阻害薬(PPI)
もの忘れの高齢男性 初診時、もの忘れ、倦怠感、意欲低下などを訴えていましたが...
もの忘れ高齢男性
初診時、もの忘れ、倦怠感、意欲低下などを訴えていましたが、
①プロテイン摂取
②ニフェジピン(降圧剤)減量
③PPI(逆流性食道炎《図参照》・胃潰瘍の薬剤)の茯苓飲合半夏厚朴湯への変更
などにより、1ヶ月後、もの忘れ、倦怠感は改善し、意欲低下は軽減しました。
血圧は相変わらず110~120/70~80と低めだったため、ニフェジピン中止により、さらなる意欲の向上を目指します。
PPIの慢性的な服用
PPIの慢性的な服用は、これまで認知症、腎機能低下、腸内環境の悪化、ミネラル不足、骨折、耳鳴り・めまいなどのリスクが報告されていましたが、最近の研究では、胃がん・大腸がんのリスクにもなるようです。
長くても、PPIの服用は6週間以内にとどめましょう。中止する際に嘔気が再燃することがありますので、この方のように、茯苓飲合半夏厚朴湯に切り替えると上手くいくと思います。
ちなみに、PPIとしては、
オメプラール(オメプラゾール)、ネキシウム(エソメプラゾール)、
タケプロン(ランソプラゾール)、パリエット(ラベプラゾール)、
タケキャブ(ボノプラザン)
などが挙げられます。
宮崎医科大学医学部卒業。独立行政法人国立病院機構菊池病院(熊本)元院長。熊本県の認知症中核病院の専門医として、熊本県全域から訪れる多くの認知症患者さんを診療され、平成30年に熊本駅前木もれびの森心療内科精神科を開院。食事・サプリメント指導により患者さんの栄養状態を改善し、お薬の量を最小限にされ、精神面の安定・改善をめざす、栄養療法を主体とした副作用の少ない「やさしい医療」を実践されている。