マグネシウムについて
マグネシウムは、約60%は骨に、約40%が筋肉・神経系に、それぞれ存在し、血液中には、わずか約1%しか認められません。マグネシウムは、生体内の約350種類の化学反応に関係し、食事から摂取した炭水化物、脂質、蛋白質などからエネルギーであるATPを産生する上で、重要な働きをしています。
生体内での作用
生体内では、次のように作用しています。
①精神面の安定を図る、②骨や歯を丈夫にする、③骨格筋や心筋の収縮をスムーズにして、こむら返り、眼瞼けいれん、てんかん、狭心症、不整脈などを防ぐ、④血中のカルシウムやナトリウムを調節し、高血圧を予防する、⑤抗炎症、⑥頭痛、喘息、夜間頻尿、尿管結石、便秘、糖尿病、月経痛、月経前症候群、発達障害などにも効果が認められます。
近年、農地のマグネシウム減少、食品精製技術の進歩などにより、食品に含まれるマグネシウム量が激減しています。また、マグネシウムは、睡眠不足、ストレス、過剰な糖質・アルコール摂取などによって体外に排出されます。したがって、白いご飯や白いパンを食べている現代人は、ほとんどがマグネシウム不足といえます。
この不足により、いろいろな身体的訴えや、イライラ、うつ、パニック、多動などの精神症状をきたします。マグネシウムが多く含まれる食品、例えば、にがり、海藻、ゴマ、アーモンド、大豆、しらす、桜エビなどの摂取、マグネシウムサプリメントの服用により、これらの症状の改善が期待できます。しかし、高齢者はマグネシウムの大きなサプリメントを服用するのは困難です。
そこで、マグネシウム入浴による経皮的吸収が必要になってきます。
症例
1.中学生男子
頭痛が五苓散でも改善せず、1学期はほとんど登校できないため来院されました。にがり摂取とマグネシウム入浴により、頭痛が速やかに改善して、2学期は毎日登校しています。マグネシウムの見事な有用性を実感しました。
2.うつ病の男性
先月来院時、「子供が反抗期で困っている、スマホを見てなかなか眠らない」とおっしゃったため、家族全員にマグネシウム入浴を勧めました。すると、お子さんは入浴後、すぐに寝るようになり、そして奥様も穏やかになられました。
3.アルツハイマー病の女性
夜間不眠で、時々不穏になっていました。そこで、マグネシウム入浴をしたところ、夜間は良眠で穏やかになられました。
このように、子供の発達障害から高齢者の認知症までのいろいろな方に、マグネシウム入浴のメリットが期待できます。
マグネシウム入浴
このように、子供の発達障害から高齢者の認知症までのいろいろな方に、マグネシウム入浴のメリットが期待できます。
ある高齢者施設で、マグネシウム入浴を取り入れたところ、ほとんどの方は、夜間良眠で、薬物も減量できたそうです。このように、認知症患者の周辺症状(BPSD)にも有用ですので、ぜひお試しください。
なお、下記のニチガの食品添加物(アマゾンで購入)を入浴剤として使用します。一般家庭の浴槽の場合、計量カッブ50~100mlをお湯に入れますと、すみやかに溶けます。リラックスして疲れがとれて、入浴後はポカポカして気持ちいいです。さらに、マグネシウムが、心の安定を図る神経伝達物質のGABAと、睡眠ホルモンのメラトニンを増加させますので、気持ちが落ち着いて、良質な睡眠が得られます。
宮崎医科大学医学部卒業。独立行政法人国立病院機構菊池病院(熊本)元院長。熊本県の認知症中核病院の専門医として、熊本県全域から訪れる多くの認知症患者さんを診療され、平成30年に熊本駅前木もれびの森心療内科精神科を開院。食事・サプリメント指導により患者さんの栄養状態を改善し、お薬の量を最小限にされ、精神面の安定・改善をめざす、栄養療法を主体とした副作用の少ない「やさしい医療」を実践されている。