夕方低血糖による帰宅要求
投稿日:2024.05.09
夕方になると、「家に帰る」と言って不穏になられる認知症の方が結構いらっしゃいます。明るさが減じることによる意識レベルの変化も一因ですが、低血糖も関係しています。
- もくじ
- 原因と対策
原因と対策
炭水化物リッチな昼食を摂取すると、食直後は高血糖になり、その後分泌されたインスリンにより、夕方になると低血糖になります。すると、交感神経優位になり、不安、抑うつ、イライラの増加により、帰宅要求が出現します。
その対策として以下のことが推奨されます。
① 昼食の炭水化物を減らす。
② 昼食時に食べる順番ダイエットを行う。
③ 昼食後の10分間ウォーキングにより、食後高血糖を緩和する。
④ 15~16時、国産の落花生、枝豆、ゆで卵、プロテインなどの補食を行う。
ある認知症の患者さんでは、落花生の補食により、帰宅要求がなくなりました。
なお、④ではナッツも候補に挙がりますが、そのほとんどは外国産で、船舶により輸送されることが多いので、カビが心配です。
この記事を書いた人:木村武実
宮崎医科大学医学部卒業。独立行政法人国立病院機構菊池病院(熊本)元院長。熊本県の認知症中核病院の専門医として、熊本県全域から訪れる多くの認知症患者さんを診療され、平成30年に熊本駅前木もれびの森心療内科精神科を開院。食事・サプリメント指導により患者さんの栄養状態を改善し、お薬の量を最小限にされ、精神面の安定・改善をめざす、栄養療法を主体とした副作用の少ない「やさしい医療」を実践されている。