小池クリニック
小池洋志院長インタビュー

投稿日:2024.07.03

東大阪に生まれた小池先生は、外科医だった父親の開業に伴い、幼少期を西宮で過ごした。小学校を卒業した小池少年は、愛媛県にある中高一貫の受験校・愛光学園に進学する。優秀な学友と自然豊かな環境に囲まれて育った小池青年は、私大医学部に現役合格。学部を卒業後、大阪市立大学(現・大阪公立大学)第一外科に入局した。消化器外科医だった父親と同じ道を歩み始めたのだ。
ところが医師になって3年目に父親が他界。葛藤の末、父親のクリニックを継ぐ決心をした、小池医師27歳の冬だった。その後、10年の歳月を経て現在の地(地下鉄御堂筋線・四ツ橋筋線大国駅真上)にクリニックを移転。社会福祉法人の理事長として、特別養護老人ホームの経営も行っている。(取材日2024年4月16日)

もくじ
大阪市浪速区で地域のホームドクターを目指す
コウノメソッドを取り入れた認知症診療で成果を実感
「特別養護老人ホームかがやき」の経営も手掛ける

大阪市浪速区で地域のホームドクターを目指す

Q.医師を志した動機をお聞かせください。

生まれたのは東大阪ですが、父親の仕事の都合により西宮で幼少期を過ごしました。父親は外科医です。大国町で開業し、小池クリニックの院長をしていました。私が医師を志したのは、父の背中を見て育った影響が大きかったと思います。子どもの頃父親のクリニックによく遊びに行っていましたから医者になるなら外科医になりたいと思っていました。中学校は、受験して愛媛県の愛光学園に入りました。中高一貫の男子校進学校です。寮生活なので、勉強には適した環境でした。周囲には現役で東大に入るような優秀な生徒がいっぱいいました。レールに乗せてもらえたから今の自分がある、父親には感謝しております。

Q.お父様はどのようなお医者様だったのですか?

息子の自分が言うのもなんですが、優秀な医者でした。消化器外科医だったのですが、手術の腕もいいし、努力家でした。大阪市立大学(現・大阪公立大学)を主席で卒業後第一外科へ入局してやがて開業医になるのですが、医者になるまで大変な苦労をしたようです。私は、それを大きくなってから知りました。
父は、両親を早く亡くしています。姉、父、妹、弟の4人きょうだいで、親代わりの姉と父が、下の兄弟を育てました。父は電気関係の夜学を出て働きながら、医学部受験に挑んだそうです。家は貧しく、机の代わりに段ボール箱、電灯の代わりにローソク、図書館から借りた本だけで勉強する、まったくの独学です。私と弟の二人を医者にしたのも、教養の大切さがわかっていたからだと思います。私たち兄弟には教育の為の費用を惜しみませんでした。

Q.開業に到った経緯をお聞かせください。

高校を卒業した私は、大阪に帰って私大の医学部を卒業後、父と同じ大阪市立大学第一外科に入局しました。消化器外科医としての第一歩を踏み出したのです。ところが、外科医になって2年経ち、麻酔科に移ったところで急に父親が他界しました。そのとき私自身は、大阪市立大学の病理学教室に入ることが決まっておりずいぶん迷いましたが、父のクリニックを継ぐ決意をしました。若干27歳での開業です。
父親は外科、内科と同時にペインクリニックをやっていたので、痛みを訴える患者さんがよく来られました。そこで私も痛みについての勉強を重ね、リハビリの大切さを知るようになりました。体の痛みは、ストレッチで筋肉を柔らかくし、股関節などの働きを改善することで和らげることができるのです。そのような治療を行うには父親のクリニックでは手狭だったので、10年が経ったころ現在の場所に移転し、約2倍にスペースを広げることができました。

コウノメソッドを取り入れた認知症診療で成果を実感

Q.このクリニックの特徴を教えてください。

診療科目は多彩で、内科、胃腸内科、外科(ペインクリニック)、整形外科、リハビリテーション科があります。風邪や切り傷など身近な病気やケガ、肩や腰の痛みなど不快な症状の治療など、幅広く手掛けているのが特徴です。気になる症状があるときに安心して来院いただけるような地域のホームドクターとなるクリニックを目指しています。また、より詳しい検査や専門的な治療が必要な場合は、専門病院への紹介も行っています。さらに当クリニックの特色を挙げれば、小さな腫瘍(癌)の発見を目指す独自の胃透視、注腸検査やエコー検査も行います(要予約)。リハビリテーション科では、当院独自の体幹をゆるめる根幹療法に基づくストレッチ指導を行うほか、高周波治療器を使った高度な治療も行っています。その根底にあるのは、患者様のために「いいものは何でも取り入れる」という前向きな姿勢です。

Q.認知症の治療で工夫していることは何ですか?

名古屋フォレストクリニックの河野和彦先生が提唱されておられる「コウノメソッド」に基づいた認知症治療を行っています。目指すところは、患者様だけでなく、介護者も優しく穏やかに生活できることです。そのため、薬の投与には徹底したサジ加減を行います。そのコウノメソッドを教えてくださったのは私の大学の先輩、鄭(チョン)先生(高槻市の鄭クリニック院長)です。鄭先生からコウノメソッドを教えていただいたおかげで、私は河野先生の本を熟読し、認知症治療にたずさわることができました。河野先生の講演を聴講し、名古屋フォレストクリニックも2度見学させていただきました。

Q.サプリメントは何か使っていらっしゃいますか?

コウノメソッドで推奨されていたフェルガードを使っております。河野先生の本でフェルガードに出会えたことは、本当に幸運でした。実際、驚くほどよく効きます。患者様がまず穏やかになります。ニコニコして、介護者が困らなくなるのです。叫ぶ人がいなくなり、スタッフのストレスが軽減され安心して働けることもあって、職場が明るくなります。あと、よく食べるようになります。食べてくれるから、元気になるのです。
認知症の治療は総力戦ですから、もちろんフェルガードだけでなく、ウィンタミンやコウノメソッドで推奨する向精神薬は使いますが、フェルガード中心でいけば、とても落ち着いてくれることは間違いありません。寝たきりに近い、目をつぶったままの患者様が、食べてくれる。咀嚼や嚥下が良くなる。これは、身をもって感じています。フェルガードがサプリメントでなく、医薬品であればなお良いのですが。自費であるためお金がかかる点で、二の足を踏んでしまうのが最大の難点です。ご家族に説明させていただいて、ご理解が得られたときに使っております。

「特別養護老人ホームかがやき」の経営も手掛ける

Q.社会福祉法人の理事長でもいらっしゃいますね。

はい。介護施設を経営しないかというお話をいただき、社会福祉法人双洋会を設立しました。大阪市西成区に「特別養護老人ホームかがやき」を建設し、入所のほかにショートステイ、デイサービス、居宅介護支援事業所(ケアマネ事務所)も手掛けております。「かがやき」では、入所だけでなく在宅介護も充実させたいと考えています。そうであってこそ、私が目指す「地域のホームドクター」になれると思うからです。
「かがやき」には、毎週私が訪問診療に行っています。54床と特養としては比較的小規模なので、一人ひとり丁寧に診ることができます。小池クリニックから自転車で15分程ですのでとても便利です。特養を経営して感じたことは、認知症治療の面白さです。クリニックの外来で認知症の患者さんを受け入れても継続性が低く、少し状態が良くなると通院をやめてしまわれる。その点、特養の入所者さんたちは、長期の観察が可能です。日々良くなっていかれるのを感じることができるのは、幸せなことだと思います。

Q.高齢者医療を行う上でのモットーをお聞かせください。

クリニックでは、曜日を決めて認知症の予約枠を設けています。コウノメソッドの他に漢方も使っております。フェルガードを使えた患者様に関して言えば、驚くような成功体験を何度も経験してきました。「かがやき」の入所者さんは、介護もあわせて診ておりますから、診察室の中ではない楽しさが味わえます。「認知症の方は、こうやって周りを幸せにしてくれるんだな」とわかるのです。言いかえれば子どもに還っているので、伝えたことに対する反応が子どもと同じですのでとても可愛いらしいのです。それを聞いた時、私をはじめ師長スタッフが、みんな笑顔になります。最高だなと思いますね。こんな場面に出会えるのも、コウノメソッドを知ることができたからです。これからもより良い認知症医療を広めていきたいと思っています。

小池クリニック

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