脳血管性認知症(VaD)とは
生活習慣病が原因で脳血管が閉塞したり、破れたりするのが脳血管障害です。それにより生じる認知症を、脳血管性認知症(VaD:vascular dementia)といいます。脳のどの部位の血管が詰まったかによって、症状や進行が異なります。ここでは、脳血管性認知症(VaD)の代表的な症例を紹介します。
脳卒中発作を起こさない脳梗塞の繰り返しが認知症を引き起こす
脳血管障害(CVD:シーヴィーディー)には、脳出血(※1)と脳梗塞(※2)がありますが、認知症を起こしやすいのは、圧倒的に脳梗塞です。特に多いのは、細い血管が障害されて起きる小血管性認知症で、脳血管性認知症(VaD)の約半数を占めています。
※1 脳出血…高血圧などが原因で血管が脆くなって破れ、脳内で出血した状態※2 脳梗塞…高血圧などにより、血管が狭窄して詰まった状態。その血管が走る領域に栄養が行き届かなくなり、細胞が壊死する
脳に栄養を送る動脈は主に、前大脳動脈、中大脳動脈、後大脳動脈の3つがあります。それぞれ大脳皮質表面を走る太い血管(皮質枝:ひしつし)と、そこから枝分かれして、脳の深部を走る細い血管(穿通枝:せんつし)に分けられます。
脳血管性認知症(VaD)では、脳のどの部位でどんな風に血管が詰まったかによって分類され、それぞれ症状や経過が異なります。