地域包括支援センターを活用しよう
少子高齢化が進む中、厚生労働省は2025年をめどに、地域で高齢者を支える「地域包括ケアシステム」の整備を進めています。高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活が送れる社会の実現を目指す仕組みで、各市区町村が、高齢者への介護・医療・予防・生活支援・住まいの確保・提供に取り組んでいます。 この仕組みの1つとして、大きな役割を担っているのが「地域包括支援センター」です。
何でも相談できる「地域包括支援センター」
「地域包括支援センター」は地域の65歳以上の高齢者とその支援に関わる人を、介護、医療、福祉などの面からサポートする総合相談窓口です。各自治体が設置しており、さまざまな資格や知識をもったスタッフが在籍しています。
各市区町村がセンターを直接運営しているケースと、自治体から委託され、社会福祉法人や医療法人、民間企業などが運営しているケースがあり、呼び名も「高齢者相談センター」「シニアサポートセンター」などさまざま。お住まいの自治体に問い合わせるか、HPから調べてみるとよいでしょう。
地域包括支援センターには、大きく4つの役割があります。
<高齢者の相談窓口>
最も大きな存在意義ともいえるのが、高齢者にまつわるさまざまな相談に応える窓口としての機能です。相談は無料ですので、とくに初めての介護に取り組む人にとっては、頼れる存在となります。
<介護予防ケアマネジメント>
要支援1・2と認定された人に対し、身体機能の低下を防ぎ、自立した生活を続けるための介護予防ケアプランの作成などを行ってくれます。
また、歩行の状態や交通機関を使った移動能力、日常生活の状態、社会への対応力やコミュニケーション能力、心身の健康管理などについて状況を把握し、介護が必要になる恐れがある高齢者に適した介護予防サービスを紹介し、参加を勧めます。
<権利擁護>
高齢者が安心して生活するための、さまざまな権利を守ります。
例えば、高齢者に対する詐欺や悪徳商法への対応、財産を安全に守るための成年後見制度の手続きサポート、虐待の早期発見と防止などに取り組んでいます。
<ケアマネジメントの支援>
ケアマネジャーを対象とした研修やアドバイス、ケアマネジャー同士のネットワークの確立支援などを行っています。
さまざまな専門スタッフが在籍
地域包括支援センターには、保健師(看護師)・社会福祉士・主任ケアマネジャーなどが在籍し、それぞれの専門性を活かしながら、連携して業務を行っています。
保健師(看護師)は介護予防マネジメントを担当し、予防給付、介護予防事業のプランの作成、要介護状態への予防、身体状況悪化防止に取り組んでいます。
社会福祉士は、総合相談と支援、高齢者の権利擁護を担当。各種相談対応、高齢者に対する虐待防止と早期発見、その他の権利擁護を行っています。
主任ケアマネジャーは、包括的・継続的なマネジメント業務を行っています。地域ケア会議を開催したり、ケアマネジャーの相談・助言、支援困難事例等への指導・助言をするなど、地域包括支援センターがよりよく機能し、高齢者が暮らしやすい地域をつくるためにさまざまな働きをしています。
介護のノウハウや介護保険の申請もサポート
地域包括支援センターでは、高齢者のための総合窓口として、幅広く相談を受け付けています。初めての介護に関するノウハウ、介護保険の申請サポート、高齢者のご家族の体調不良、徘徊などの認知症症状に対する対策、高齢者への虐待の報告など、どんなことでも受け付けてくれます。さまざまな専門家が対応してくれるので、気になることがあったら気軽に相談してみましょう。
なお、高齢者とご家族が離れて暮らしている場合、相談できるのは、高齢者が住む地域の地域包括支援センターとなりますので、注意しましょう。
地域包括支援センターを活用するメリット
地域包括支援センターでは、所属する専門家の種類に関わらず、介護に関する相談はすべて聞いてもらえます。専門家たちの支援を無料で受けられるのは、大きなメリットといえるでしょう。
また、安全な財産管理やご近所での高齢者の虐待問題などは、なかなか一人では解決できず、誰にでも相談できることではありません。そんな事案も地域包括支援センターには気兼ねなく相談ができ、心の拠りどころとなってくれます。
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